賃貸借契約における孤独死の対応は?リスクに対する備えも解説!
賃貸経営をしている方のなかには、入居者の孤独死のリスクについて不安な方も多いでしょう。
とくに高齢者と賃貸借契約を結んでいる方は、孤独死の対応やリスクに関して事前に把握しておかなければなりません。
そこで今回は、入居者が死亡しても賃貸借契約は解約されないのか、孤独死が発生したときの対応やリスクに備える方法をご紹介します。
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入居者が死亡しても賃貸借契約は解約されないのか
65歳以上の高齢者が一人暮らしで亡くなる件数は、年々増加傾向にあるのが現状です。
内閣府の「令和6年版高齢社会白書」によると、65歳以上で一人暮らしをしている方が自宅で亡くなる件数は東京23区で2012年が2,733人、2022年が4,868人となっています。
このような孤独死が増加する近年では、所有する物件に対して大家さん自身が対策しなければなりません。
以下で、賃貸物件で入居者が死亡したときの注意点や確認事項をチェックしておきましょう。
賃貸借契約とは
孤独死の対応を考える前に、まずは賃貸借契約について理解を深めておく必要があります。
賃貸借契約とは、民法601条に基づいた契約のことです。
貸主が物件の使用および収益を借主にさせることを約し、借主がこれに対してその賃料を支払います。
そして、借主は引き渡しを受けた物件の契約が終了したときに返還をおこなうのが原則です。
賃貸借契約をおこなっていた方が死亡したときは、入居者の権利である「賃借権」が民法896条に基づいて相続の対象となります。
そのため、賃貸借契約は入居者の死亡後ただちに解約されるわけではありません。
賃借権は相続人に引き継がれるため、賃貸借契約をおこなうときは、万が一に備えて、入居者が孤独死したときの流れを事前に把握しておきましょう。
入居者が孤独死したら相続人の有無を確認する
賃貸借契約を結んでいた方が孤独死をしたときは、まず相続人の有無を確認する必要があります。
ただ、相続人は引き続き賃貸借契約を結ぶ必要がないため、契約解除を要求してくるケースがほとんどでしょう。
相続人の確認方法は、保証人や緊急連絡先などに連絡するのが一般的です。
なお、孤独死になると警察が親族を調べて連絡するため、その親族から相続人を確認できる可能性があります。
それでも相続人が分からないときは、専門機関である弁護士に相談してみると良いでしょう。
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賃貸物件で孤独死が発生したときの対応
入居者が孤独死をしたときは、以下の対応をおこなう必要があります。
それぞれポイントや注意点を確認しておきましょう。
孤独死後の対応①残置物の処置
入居者の孤独死後には、相続人に残置物の処置を依頼します。
残された家具などの家財道具を相続人に整理・処分してもらい、部屋を明け渡してもらうのが原則です。
連絡の手間などから大家さんが勝手に処分してしまうと、相続人と揉める可能性があるので注意しましょう。
トラブルを未然に防ぐためには、相続人に協力を仰ぐ必要があります。
孤独死後の対応②原状回復費用の請求
残置物の処分を終えたら、原状回復費を請求するのが一般的です。
とくに、遺体発見までに時間を要したケースでは、特殊清掃が必要になる可能性があります。
そのようなときは、業者の手配費用や修繕費を相続人に請求しましょう。
ただし、清掃業者の手配は便宜上、大家さんがおこなうケースもあります。
孤独死後の対応③賃貸借契約の解約
家賃に未払いがあるときは、相続人に支払いを請求します。
その後、賃貸借契約の解約および敷金精算をおこなうのが一般的な流れです。
敷金に残額があるケースでは、相続人に返還をおこなうので、振込先などを尋ねておきましょう。
孤独死後の対応④死亡原因の確認
入居者が孤独死をしたときは、次の物件募集で告知をしなければなりません。
そのため、状況によっては新しい入居者が決まらなかったり、家賃を減額したりとさまざまなリスクが生じます。
死亡原因次第では相続人に損害賠償を請求できる可能性があるので、このタイミングで調査しておきましょう。
しかし、すべてのケースで損害賠償請求となるわけではないため、不安なときは弁護士に相談する必要があります。
孤独死後の対応⑤次回募集の告知
次の入居者を募集するためには、家賃や告知内容を慎重に決めなければなりません。
老衰死などの事件性がない孤独死に関しては、半年以上経過していれば告知義務がなくなる可能性もあるので、少し時間を空けてから入居者募集をおこなうのもおすすめです。
家賃設定や告知内容に迷ったときは、弁護士や不動産会社に相談してみると良いでしょう。
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賃貸物件の孤独死リスクに備える方法
賃貸経営では、孤独死に関するさまざまなリスクがあります。
それらに備えるためには、以下の方法がおすすめです。
賃貸経営をすでにおこなっている方はもちろん、検討している方も事前知識として知っておきましょう。
孤独死リスクに備える方法①孤独死保険に加入する
孤独死や自殺の増加に伴って、近年では孤独死保険を提供する保険会社も増えてきました。
孤独死保険は大きく分けて、オーナーや管理会社が加入する「家主型」と入居者が加入する「入居者型」の2種類があります。
家主型では、室内で入居者が死亡したときの遺品整理費用や原状回復費用、家賃損失を補償するのが基本的な保障内容です。
大家さんの費用負担が増えますが、万が一の備えとして考えておくと良いでしょう。
保障内容や料金形態は各会社によって異なるので、事前に確認しておくことが大切です。
なお、入居者型は、入居時に借主が加入する火災保険の特約として契約します。
とくに高齢者の一人暮らしでは相続人がいないケースも多いため、入居時の火災保険を見直す必要があるでしょう。
孤独死リスクに備える方法②連帯保証人を選定する
孤独死リスクに備える方法として、連帯保証人を立てるのが有効です。
契約時に連帯保証人として相続人または親族を選定しておけば、入居者の死亡後もスムーズに連絡が取れます。
入居者が高齢のケースでは相続人と連絡が付かないケースも多いため、契約時に対応しておきましょう。
孤独死リスクに備える方法③終身建物賃貸借契約を結ぶ
終身建物賃貸借契約とは、賃借人が死亡することにより賃貸借契約が終了する契約のことです。
知事が認可した住宅において契約可能となっているため、事前に大家さんが都道府県知事の認可を受ける必要があります。
基本的に入居者が60歳以上なら終身建物賃貸借契約を締結できるので、前もって手続きを進めておくと良いでしょう。
終身建物賃貸借契約であっても、残置物の処理や遺体の埋葬については通常の賃貸借契約と変わりません。
ただし、終身建物賃貸借契約は、残置物引取人および連帯保証人をあらかじめ定めておけるのが特徴です。
これにより、入居者死亡後の手続きがスムーズになり、大家さんや相続人の負担が軽減されます。
注意点として、相続のない「一代限り」の賃貸借家契約であることは覚えておきましょう。
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まとめ
賃貸物件で入居者が死亡しても賃借権は相続人に引き継がれるため、すぐには契約解除されません。
相続人の有無を確認したら、残置物の処理を依頼し、原状回復費用を請求して契約解除をおこないます。
賃貸物件で孤独死が起きると次の入居者が決まらなくなる可能性もあるので、孤独死保険に加入したり終身建物賃貸借契約を結んだりしてリスクに備えましょう。
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